トイレが我慢できない、1日に何度もトイレに行くと言う悩みを抱えている人は、40歳以上の男女では8人に1人で約800万人もいると言われています。
その中には過活動膀胱が原因のことがあります。どのような病気なのでしょうか?

過活動膀胱の特徴

過活動膀胱(OAB=over active bladder)は、尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁の3つの症状が特徴的な疾患です。
難しい医学用語を並べましたが1つ目の尿意切迫感は、急にオシッコがしたくなってもう漏れそう我慢できない、という症状です。

このような症状があって病院に診察を受けに来た人が、「診察の順番が次だからあと5分ほど待てばいいのに、急にトイレに行きたくなって我慢できなくなって廊下を走ってトイレに駆け込みました」などと話すケースも多いです。

2つ目の頻尿は、朝起きてから寝るまでに8回以上、就寝してから朝起きるまでに1回以上排尿する場合を言います。
夜中に何度もトイレに起きるため、睡眠不足となり生活の質も低下します。

3つ目の切迫性尿失禁は、急にオシッコがしたくなってトイレまで我慢できずに失禁(お漏らし)してしまうことです。

このような症状がある方は要注意です。
泌尿器科を受診することをお勧めします。

チェックシートと診断方法

病院では、チェックシートや問診票を使うことが多いです。
実際にチェックシートを見てみましょう。

①.朝起きてから寝るまでに何回排尿しますか?
A.7回以下、B.8~14回、C.15回以上

②.夜、就寝してから朝起きるまでに何回排尿のために起きますか?
A.0回、 B.1回、 C.2回 D.3回以上

③.急にオシッコがしたくなって我慢が難しいことがありますか?
A.ない、B.週に1回以下だけどある C.週に1回以上ある、D.1日1回くらいある E.1日2~4回くらいある F.1日5回以上ある

④.急にオシッコがしたくなって我慢できずに漏らしてしまうことがありますか?
A.ない B.週に1回以下だけどある C.週に1回以上ある D.1日1回くらいある E.1日2~4回くらいある F.1日5回以上ある

泌尿器科へ行くとまずはこのような問診票に答えます。
その後、検尿を行うことが多いです。
そして診察室で問診をし、超音波エコーで腎臓や膀胱の様子を見たり状況に合わせてその他の検査を行います。

OABには、脳梗塞やパーキンソン病などの脳や脊髄の病気が背景にある神経因性とこれらが原因ではない非神経因性があるので、この見極めも行います。
男性の場合は、前立腺肥大症を伴うことが多く、女性の場合は出産や加齢現象で骨盤底筋が弱くなっていることが原因のことが多いです。

過活動膀胱の治療

治療は、生活指導や尿を溜める訓練、薬物治療を行います。

生活指導ではコーヒーやアルコールを控えます。
訓練は、尿意を感じても排尿を我慢することで、少しでも溜められるようにしていきます。
薬物療法は、膀胱の収縮を抑える抗コリン薬や、膀胱の筋肉を緩めて尿を溜めやすくするβ3作動薬を使います。

オシッコにまつわるお悩みを抱えている人は、泌尿器科を受診しましょう。
尿もれ外来があれば尚ベターです。