現在日本で血圧が高い人は約7900万人と言われています。
実に成人の3人に1人、高齢者では3人に2人が高血圧と呼ばれる状態です。

日本人に多いのは「本態性高血圧」と「二次性高血圧」

高血圧には本態性高血圧二次性高血圧があります。
高血圧のうち90~95%が本態性、残りの5~10%が二次性だと言われています。

本態性高血圧は、血圧が高い原因となる病気が特にないケースで、生活習慣病や遺伝的な要素が関係していると考えられています。
また、イライラしやすい性格やせっかちな性格なども血圧が高い原因となることがあります。

本態性高血圧は降圧薬に対する反応も良く、症状が急速に進むことはあまりありません。
麺類の汁は残して漬物や練り物やハム・ソーセージ類は控えるなどの減塩を心がけて、できるだけゆっくりとのんびりと過ごすことや適度な運動で、血圧が下がることもあります。

二次性高血圧は、何らかの病気が背景にあって、その病気が原因となって血圧が高い状態になっているケースです。

その中で一番多いのが、腎実質性高血圧です。
糸球体腎炎や糖尿病腎症、慢性腎盂炎などの腎臓の病気が原因で血圧が高くなっています。
これらの場合は、尿検査で異常が指摘されることが大半です。
尿にタンパクが出たり血尿が出たり、円柱と言った成分が出たりします。

別の病気が関係していることも多い

次に多いのが腎血管性高血圧です。
これは、腎臓の動脈が狭窄して血流が悪くなったために、レニンと言う腎臓から分泌される血圧に関係するホルモンがたくさん分泌されて、血圧が高くなります。

その他に、原発性アルドステロン症という病気が原因のこともあります。
この病気は比較的まれな病気だと考えられていましたが、人間ドックなどでCTを撮る人が増えて、偶然に発見されるケースが増えており、実際には高血圧の5~10%くらいを占めている可能性もあるのではないか、と近年注目されています。

原発性アルドステロン症になると、副腎に腫瘍ができて血圧が高くなるだけではなく、低カリウムとなって脱力をきたすこともあります。
高血圧に加えて低カリウムが見られる場合はこの病気を疑って、血漿レニンや血漿アルドステロンを調べるとレニンは低値をアルドステロンは高値を示します。

その他、副腎髄質に腫瘍が出来る褐色細胞腫では、高血圧、高血糖、高代謝(脈が速くなる、やせる)が見られます。

血圧が下がらない場合は病院で検査を

甲状腺機能亢進症でも血圧が高くなることがありますが、この場合は下の血圧(拡張期血圧)はあまり上がらず、上の血圧(収縮期血圧)が上昇する傾向があります。
また汗を掻きやすくなって多汗となったり脈が速くなったり下痢になったりします。

二次性高血圧の場合は、一般的な本態性高血圧の際に使う降圧薬では血圧が下がらないことが多いです。
きちんと薬を飲んでいるのに減塩も気を付けているのに血圧が下がらない場合は、これらの病気の可能性も考えて検査を受けることも必要になってくるでしょう。